ああもう!言っちゃうよ!言っちゃうからね?一回しか言わないから耳の穴かっぽじってよーっく聞きなさいよ! 「また突然だな、 」 いいから聞く!こっちだって恥ずかしいの我慢して…ええいままよ!はっきり言っちゃうとね、葉はイイ男なの。葉以上の男なんていないから。もうどの辺がとか、そんなの言うだけ馬鹿みたいよ。だってどこをとってもイイ男だからね。おかげで男の人にも女の人にも、いろんな人にモテて困るわ、ほんと。ちょっと照れないで!まだ序の口だから照れないで!うぇっへっへじゃないの!あたし今すごい頑張ってるから。先に照れられると困るでしょ。あれ、話がずれた…?もう、葉がそこで照れるから。 「おお、すまん。続けてくれ」 何よその笑顔は。嬉しそうにしないでよ。まったく。とにかく、あたしは葉が好きなの。好き過ぎるの。うっかり手とか握られちゃうと、そこから火が出たみたい。熱くって熱くって、燃え盛ってる。熱が消えないの。もう爪なんかとっくに溶けちゃってるんじゃないかってぐらい。それで抱き締められたりなんかしたら、もう全身やけどで死ぬわよあたし。 「そうするとはだいぶ死んでるなぁ」 そういう細かいツッコミはいいから。だからね、葉だけは他の誰にも奪られたくないの。誰にもあげたくないの。まん太にだって焼きもちやくからね、あたし。阿弥陀丸?それ聞く必要がある?それで、どこにも行かないでって言いたいし、ずっと傍に居させてって思ってる。別にシャーマンファイトに限定しないよ。思ってる。いつもね。はいそこ赤面しない!あたし?いいの。あたしはいいの。しょうがないじゃない。こんな恥ずかしいセリフ告白のときだって言ったことないんだから。ちょっと!思い出さないでよ!あのときはいっぱいいっぱいだったんだから! 髪を伸ばしたのだって、葉が長いのいいなって言うからよ。そんな理由って、乙女にとっては一大事よ。好きな人にこの髪形がいいって言われたら、全力でキープだから。もちろん乙女心ってやつです。いやいやそんなことはどうでもいいよね。要するに、よ。あたしは葉のその視線ひとつでもうダメだったわけ。 ああ!ちょっと待って!言っちゃだめ。誰にも言っちゃだめ。阿弥陀丸もダメ。お願いだからそわそわしないで!他の人に言っちゃったら泣くから。あたし泣くから。自慢なんてしなくてもいいの。それノロケだから。他の人困るから、ね?…ファウストは困んないかもだけど。待って待ってストップ!だめ!やっぱ困んなくてもダメ!そんな不満そうな顔しないでよ。じゃあ、ほら、あたしと葉だけの秘密ってことで。…そんなあっさり納得しないでよ。いいけどね。黙っててくれるんなら。 あーあ。話がぐだぐだじゃないの。脱線し過ぎてどこに持って行きたかったのか、すっかりわかんなくなった。え、なんで告白をオッケーしたか?これだけ惚れた理由言わせといて、まだ言うの。…はいはい。しょうがないな。あのね、別に葉の口説き文句がすごかったとか、そんなことじゃないよ。だいたいつっかえつっかえで、聞きとるのも苦労したぐらいなんだから。…嘘。聞き逃すわけないじゃない。一生に一度聞けるかどうかってセリフだったんだから。こら!セリフの途中で抱きしめるの禁止!後でね、後で!ともかく、別に口説かれたつもりはないの。あたしは葉に告白される前から葉が好きだったんだし。ホントだってば。もう。葉は黙ってあたしの言ったことを信じたらいいの! 「オイラはいつでものこと信じてるけどな」 いい、いきなり何言っちゃってんの!…あたしもだけど。じゃなくて!ええい回りくどいのやめ!やっぱこういうの向かない。恥ずかしい。無理。頑張ったよあたし。うん頑張った。もう終わり!不満そうな顔してもだめ。…だめだったら。えーじゃないの。決めたの。 「そういや、はなんでいきなりこんなこと言ってくれる気になったんだ?」 「え、あれ?」 「オイラは嬉しいからいいけどな」 ちょ、ちょっと。うぇっへっへじゃなくて。葉が最初に言い出したんじゃないの。何って、最近蓮と仲良いなとか、こないだあげたものは何だったんだとか。だから浮気疑惑かと思って、一生懸命弁解してたのに。違うの?え、違うの? 「いやー!恥ずかしい!勘違いの上に告白とか!語っちゃったじゃないの! もうダメ誰か穴掘って。速攻で埋まるから!」 「まあまあ。言っちまったもんはしょうがねえ」 「くそう勝ち誇ったような顔して…覚えてなさいよ」 ああもう。二度とこんなことに口なんか使わないから。…ほんとよ。絶対だってば。ちょっと葉!全然信じてない顔しないでよ!
とりこし苦労 |