昼休み。ホグワーツ内、とある森にて。 「君、ずっと犬でいなよ。ああ、それがいい。そうしよう。 僕が飼ってしつけてあげるから。芸も存分に身につけて。 目指せ魔法界のトップ・ブリーダー」 心底楽しそうに、我らが鹿殿はおっしゃった。 「ちっくしょおおぉぉ!!」 例によって例の如く、心底悔しそうに吠えてはいるが、もはや後の祭り。 「シリウス・・・」 気の毒そうに黒犬を見やるのは、未だ人格未改造なネズミ。 「何ていうか・・・ねえ?リーマス」 「うん。犬だね」 あたしと事実を再確認するのは傍観者オオカミ。 我らが黒犬の口にあるのは、チキン。 「とってこい」はとても優秀なようだ。 ダンスパーティー終了後。 「前略、中略、省略、以下略」 「何が言いたい・・・」 言い放つあたしに対して、いささかばつが悪そうに睨みつける。 「何も言うことが無いってことよ」 「いやあ名台詞だね」 「ありがとうジェームズ」 不機嫌に顔を背けた黒犬の左頬には、真っ赤な紅葉。 夏休み。ダイアゴン横町にて。 「るっせぇぞオッサン、道に迷ったンなら交番いけ、交番。 ……あに? え・・・お前のお父さん? ど、どどどどどどどうも! 娘さんとおつきあいさせて頂きまきまき」 「ねえ、いつ気付くかな」 「一生気付かないんじゃない?」 やる気なさげに前方を見やるあたしと、面白そうに見やる狼。 「うえっ!耳クソ味だ」 もはや完全無視で百味ビーンズを頬張るネズミ。 強くなったわね…… 不本意ながら彼氏である黒犬殿と対峙しているのは ポリジュース薬で変身済みの鹿。 某月某日。朝食時。 「おや、君は昨日僕のウインナーを横から奪い取ったへたれのシリウスだねぇ。 で、昨日僕のウインナーを横から奪い取ったへたれのシリウス、なにかようかい? あれ、昨日僕のウインナーを横から奪い取ったへたれのシリウス、なんで土下座してるの?」 「さすがリーマス。強いねー」 「ああ。食べ物の恨みは恐ろしいんだよ」 「昔の人って偉大ね」「偉大だね」 「僕、お腹痛くなってきた…」 「ほらシリウスが死にそうだよ。そろそろ助けに行ってやりなよ」 大きくため息を吐いて歩き出すと、きらきらと輝く視線が突き刺さる。 痛いからやめて。 リーマスは心底疑問そうな顔で聞いてきた。 「ねえ、何でシリウスと付き合ってるの?」 「あたしが知りたいわリーマス」 その時のシリウスの顔が見ものだったから、まあ良しとする。 |
お題提供(
HPでセリフなお題)