その夜。 グリフィンドールの談話室にて。



「へたれシリウスを倒した。五十の経験価、チキンを手に入れた。
 なんと、へたれシリウスは起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている。
 仲間にしますか?」


大真面目に友人である鹿は言った。
なのであたしも大真面目にこう答えた。





 「下僕にします」  

 「待てええぇぇ!!
黒犬の投げたトランプが宙を舞った。



本日の戦歴:ポーカーにて
鹿 3勝2敗  あたし 2勝3敗



  黒犬  全敗  



罰ゲーム   一日下僕
 
悪戯仕掛け人に温情は無い。    



昼休み。ホグワーツ内、とある森にて。 


「君、ずっと犬でいなよ。ああ、それがいい。そうしよう。
僕が飼ってしつけてあげるから。芸も存分に身につけて。
目指せ魔法界のトップ・ブリーダー」


心底楽しそうに、我らが鹿殿はおっしゃった。

「ちっくしょおおぉぉ!!」
例によって例の如く、心底悔しそうに吠えてはいるが、もはや後の祭り。


「シリウス・・・」
気の毒そうに黒犬を見やるのは、未だ人格未改造なネズミ。


「何ていうか・・・ねえ?リーマス」
「うん。犬だね」
あたしと事実を再確認するのは傍観者オオカミ。


我らが黒犬の口にあるのは、チキン。


「とってこい」はとても優秀なようだ。




 ダンスパーティー終了後。  



「前略、中略、省略、以下略」  


「何が言いたい・・・」
 言い放つあたしに対して、いささかばつが悪そうに睨みつける。


「何も言うことが無いってことよ」
「いやあ名台詞だね」
「ありがとうジェームズ」


不機嫌に顔を背けた黒犬の左頬には、真っ赤な紅葉。



夏休み。ダイアゴン横町にて。


「るっせぇぞオッサン、道に迷ったンなら交番いけ、交番。
……あに? え・・・お前のお父さん? ど、どどどどどどどうも!
娘さんとおつきあいさせて頂きまきまき」



「ねえ、いつ気付くかな」
「一生気付かないんじゃない?」
やる気なさげに前方を見やるあたしと、面白そうに見やる狼。


「うえっ!耳クソ味だ」
もはや完全無視で百味ビーンズを頬張るネズミ。
強くなったわね……


不本意ながら彼氏である黒犬殿と対峙しているのは




ポリジュース薬で変身済みの鹿。  



某月某日。朝食時。



「おや、君は昨日僕のウインナーを横から奪い取ったへたれのシリウスだねぇ。
で、昨日僕のウインナーを横から奪い取ったへたれのシリウス、なにかようかい?
あれ、昨日僕のウインナーを横から奪い取ったへたれのシリウス、なんで土下座してるの?」



「さすがリーマス。強いねー」
「ああ。食べ物の恨みは恐ろしいんだよ」
「昔の人って偉大ね」「偉大だね」
「僕、お腹痛くなってきた…」

「ほらシリウスが死にそうだよ。そろそろ助けに行ってやりなよ」


大きくため息を吐いて歩き出すと、きらきらと輝く視線が突き刺さる。
痛いからやめて。



リーマスは心底疑問そうな顔で聞いてきた。
「ねえ、何でシリウスと付き合ってるの?」
「あたしが知りたいわリーマス」


その時のシリウスの顔が見ものだったから、まあ良しとする。



Beautiful






My Life!


(美しき哉、人生!) 




お題提供( HPでセリフなお題)