堕ちてゆく
あの人が堕ちてゆく。突き抜ける蒼い空から。
まるで小さな赤い星が堕ちてゆくみたい。きらきらと、きれいだ。
こんなにも空は蒼く輝いているのに、どうしてあの人はこんなにもまばゆいんだろう。
なんて。あの人はただの人間なのにね。でも見えたんだ。嘘じゃない。本当だよ。
あの公園でも、この遺跡の中だって。いつだって真っ直ぐ見れないぐらいなんだよ。
ああ、ほら、星が燃え尽きてしまう。星は大地に触れてはいけないのに。
動けぼくの体
さぁ、行こう
あの人を、助けたい
堕ちてゆく
空は僕のことを嫌ってる。きっと、とことんね。
地に伏せよと僕の身体を押しやって、本当、痛いぐらいだ。
待って。そんなに押さないでくれ。あの子が見えないじゃないか。
また泣きそうな顔をしていたら大変だ。僕は笑った顔を見たことがないのに。
痛い。ああ酷い。こんなにも目を凝らしても、太陽が邪魔をする。お願いだから。
見えた。ほらまた泣きそうだ。あんなにも一生懸命、僕に手を伸ばしてる。
約束をしたんだ
必ず助けるよ
きみと、一緒に
だから、手を差し出す
(思いがけず見下ろしたこの人はこんなにもちいさかった)
だから、手を伸ばす
(差し出されたきみの手はこんなにも稚かったのに)
掴んだ手
(どうしてこんなにも安心するのだろうか)